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2021.10.05

TOUR FILM

 VHSを出します。と最近宣伝している中、w.o.d.チーム内で誰かが「てかVHSって言ってみんな分かんのかな?」と言った。

 たしかに。俺らはVHSが作れるぞ!おもしろい!と舞い上がって映像からアートワークからわいわい作っていたけれど、そんなこと考えもしなかったし、当たり前のようにVHSという言葉を使っていた。VHSが何の略かも知らないで。

 俺が小学生低学年の頃、たぶんまだDVDは普及していなくて、実家では毎週放送されていたアニメ版ワンピースを「ビデオテープ」に録画していた。お気に入りのシーンを見返すたびに画質は悪くなり、日が経つごとに海賊王への夢はどんどん薄れていった。

 その頃は「ビデオ」と呼んでいたのに、自分がテープを出すとなった途端に「VHS」と呼びだした。しゃらくさい。

 で、VHSとは実のところなんぞや?と思い、Wikipediaで調べてみた。

 「当初は記録方式を表現したVertical Helical Scan(バーチカル・ヘリカル・スキャン)の略称だったが、後にVideo Home System(ビデオ・ホーム・システム)の略称として再定義された。」

 分かりやっす〜〜。前半のバーチカル何とかから後半急に分かりやす。家でビデオ見れまっせ、ってことでんな。DAIGOの略語のアレより分かりやすい。おおきに。

 ということで改めまして、VHS出します。ビデオテープってやつです。俺らの世代くらいまではまだギリ残ってたやつで、ブルーレイの前の、さらにDVDの前の記録媒体です。うまい言い方が分からんけど、カセットテープで音源出してるのとおんなじ感じです。古い質感で劣化もするけど、なんか最高なんでとりあえず観てください。できるだけボリューム上げて観てね。

 このビデオを作るにあたって、まずこの映像を参考にしました。

 俺はLed Zeppelin大好き芸人なので、パクリと言われたらむしろ喜ぶような質なのですが、ライヴ映像を撮って世間に出すにあたってこれを参考にする、というのはつまり何がしたかったのか?という話をしようと思います。

 (お気づきの方はもうお分かりかと思いますが、俺はこれを書きながらもう見事に酔っ払っています。キーボードを打つ指が止まりません。敬語と口語の違いがわからない。)

 つまるところ、どうせ出すなら現代のライヴ映像っぽいライヴ映像ではない映像を出したいということ。その行き着く先がVHSだったということ。キメキメの構図が嫌。あざとすぎる色彩が嫌。絶対に先に打ち合わせしていたであろう感動的な画角が嫌。それで、結果こうなりました。(でも将来ホールとかでやったらQUEENみたいに豪勢にやりたい。そんときに叩かれても知らん。黙れ。こちとらQUEENやぞ。)

 まず撮影にあたって、今回はディレクション・撮影等諸々を映像作家の元(もと)さんという方に依頼しました。ファイナルをやったリキッドで飾ったテレビデオも元さんにお借りしました。で、各地のオフ映像みたいなのはマネージャーとかスタッフやらメンバーに撮ってもらったりしました。

 ライヴ映像の撮影に関して、俺らは「できるだけ適当に撮ってくれ、なんなら酒飲んでやってくれ」と依頼しました。完成された構図の作られた生々しさなんて何も面白くない。ドキドキしない。と思ったからです。

 そんな事を言っても、クレジットに名前が記載されるわけなので普通の人は取り合ってくれません。だって適当に撮った様に見える映像が世に回れば、その映像は雑にしか見えんし、その雑に撮ったやつは「誰やこのディレクター・カメラマンは!下手か!」と受け取られてしまうからです。

 ところが元さん。「いいっすね〜それでいきましょう^^」と言い放ちました。バカかと(^^は俺の視覚のイメージです)。もうその時点で俺に心配はなかったし、実際、出来上がりも最高でした。

 そりゃ編集に口出しはしたし、より良くなるように皆で話し合いを重ねたけれど、もう基本的に最高。もちろん映像はキレイじゃない。でもそもそも俺らのライヴはそんな綺麗なもんじゃないです。

 良いように言ってしまっているかもしれませんが、人生に同じく、現実はそんな綺麗なもんじゃない。俺らのやっている音楽は、生き様がそのまま投影されるべき音楽であって、Joy Divisionであって、Nirvanaであって、BUMP OF CHICKENだと思っているので。

 正直、もっと上手に歌おうと思えば、音を外さず丁寧に歌える。ミスなくギターを弾ける。エフェクターの踏み間違えなんかせずに済むし、リズムを読み間違えることなんてある訳ない。でもそんなしょうもない間違いなんてクソほどしょうもない。どうでもいいやつの機嫌なんて死ぬほどどうでもいいのと一緒。これは俺の人生であり、あなたの人生なので。

 そんなことより、いま心臓が強く打ったか、脈が速くなったか、鳥肌が立ったか、毛が逆立ったか。むしろ安心したか。心が埋まった感覚があったか。それが、俺らの鳴らす音楽にとって一番大事だと思っています。

 セットリスト、照明、PA込みの音作り、ライヴ含め自分らの作る作品に妥協はしたくないと思っています。幸せなことに、そんな俺らに賛同してくれる人たちがいて、いまはマネージャー、PA、ローディー、照明など、ほかにも各地イベント制作の人たち、ライヴハウスの人など、いろんな人に手伝ってもらってライヴをしています。

 みんなコロナ禍でほんまに死ぬほど大変やろうに。ありがとうございます。できるだけ迷惑かけたくないです。今後酔っ払って迷惑かけたらすみません。反省します。また迷惑かけます。

 こんだけ書いたからついでに書くけど、俺はほんと、曲をきいてくれたりライヴにきてくれるお前、あなた、君に自由に楽しんでほしいと思っていて、めちゃくちゃ好きに遊んでほしいと思っています。できるだけ人に迷惑かけないほうが良いとは思うけど、かけたらめちゃくちゃ謝ろう。でもとにかく自分を解放してほしい。

 じっと見つめてもいいし、今までやったことないダサい動きで踊ってもいいし、目をつむってただひたすらに音を聞いても良い。ただやっぱりライブって居場所は、一人だけの場所じゃなくて、口聞いたこともない他人と共有している場所だから、気遣いを忘れず楽しんでほしい。一人で遊ぶなら部屋か、夜中に外でイヤホンが最高や。しらんけど。なんでもいいけど自分が解放される感覚をどうにか味わってほしい。無理しなくていいよ。いいタイミングそのうちくるからね。

 なんやかんや書いてたら酔いが冷めてきたのでそろそろコンビニに酒買いに行こうと思うけど、なんかふだん恥ずかしくなって、というか関西人の気質としてできるだけおちゃらけようとしてしまうのだけれど、俺は皆に支えられて生きていて、心からありがとうって思っているし、一人じゃ生きられないなと思っている。でもたまに人をバカにするし、そんな自分を卑下しまくったりする。でもこれからもがんばるのでよろしくね。おやすみ。